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『 帯状疱疹 (たいじょうほうしん)』
ウチの家族がテレビCMで何度も見て、よくは知らないがヤバいものとだけ認識している病気の名前である。
気付いたのは一昨日、腰痛に侵された腰を締め上げているサポーターに沿うように、赤い発疹が左わき腹からヘソに向けて発症しだした。
それを家族に見せてみると、我が家のエセ医師たちは口をそろえて「帯状疱疹だ!」と診断した。
今日、短時間の移動なら何とか耐えられる程度に腰は回復した。そこで昼休み、昼食を返上して駅前の皮膚科へ行ってきた。
待合室に患者はそれなりの数がいたが、回転は先日行った内科よりはるかに速い。
『熱病を移されることもないし、医者をやるなら皮膚科になるのがワリが良いのかな』
などと絶対不可能な転職に心を躍らせているうちに、もう順番が回ってきた。
医師に経緯を話すと、それでは帯状疱疹の検査をしましょうと、取り出したるはインフルエンザの検査で鼻に突っ込まれるあの棒と酷似したプラスチックの棒。
脇腹の発疹をピンセットの先で破ると、そこにその棒をグリグリとねじ込まれた。
三ヶ所へのねじ込みに耐えたところで結果待ちのため待合室へ出さた。
再び呼ばれるまで五分もかかっただろうか、診察室に入って挨拶する俺に食い気味に告げられる結果発表。
「帯状疱疹です!」
この展開の速さ、椅子に座る前に追い出されそうな勢いを感じる。
何か聞いとかないと、と思った俺の質問が、「腰痛で締め上げたサポーターに沿って出てきたんですけど、因果関係なんてないですよね?」
すると医師の回答は、「腰痛自体が帯状疱疹の前兆かもしれません」
!?
突然の有力説浮。
稀にやってくるあの身動きをとることもままならない腰痛、なのに整形外科では異常なしと診断されるあの腰痛、その原因が帯状疱疹だというのか。
すると、次回から腰の激痛に見舞われた際には、皮膚科へ駆け込めということか。
『腰痛で皮膚科』
鼻で笑われる未来が見えるのだが、これは孔明の罠ではないのか?
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