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7月2日

テレワークも始まってもう2年、家族以外は仕事仲間にも知人にも、もうほとんど会うことはない。

たまに出社することはありますが、同じ日に仕事仲間たちが揃って出社するようなことは無いので、そこで以前のようなコミュニケーションは発生しません。

楽ではあるんですけどね。
通勤時間がなくなる訳だし。

ところが、出歩かないので視覚的な刺激が無く、人前に出る緊張感も無い、仲間との雑談から生まれるアイデアも無い。こうして同じような日々を繰り返していると、面白い発見や思い付きからも無縁になっていくようです。

多忙な人が言う、「あっという間に月日が流れた」というのが、もっともらしく聞こえるものですが、実感では忙しかった頃よりも、家に籠って同じような日々を繰り返す今の方が、月日の進行ははるかに速く感じる。

つい先日も、週明けに先週末の記憶を語ったら、それは先々週の話だという指摘を受けました。もはや記憶に留まらぬ間に一週間が過ぎているという、時の流れについていけない重症なのです。


以上のように、日々何も無いもので、基本的には日記に書くようなことも起こりません。
「ならば、書きたくなるまで思いきって何も書かなければよい」
どこぞでそんな台詞を聞いたことがあったような気がしたので、実践してみたところ、何も書かないことが当たり前になった。

そして日記を書かなくなって半年、我に返るように、
「あれ? 俺は大丈夫か?」
と、不安に駆られて書いたのがこの日記。

もしかして、過去に閉鎖していった数多の日記サイトたちは、こうして終わっていったのではないでしょうか。


7月7日

デカデカとユニクロのロゴが入った服を来て歩いている人がいた。お店のあるような場所でもなく、見るからに普段着として着ている風であった。

ユニクロの服は、ユニクロの服であることを隠して着ないといけないルールなのだと思っていたのですが、時代は変わったのでしょうか。
それとも1周回って、『ダサかっこいい』のステータスに昇華したのでしょうか。


7月13日

最近は目も悪い。そのときは疲れていたこともあったが、芝生に突き立てられた注意書きがこう見えた。

【犬の誉 お断りします】

思わず二度見した。フンとは言わず、「誉(ほまれ)」と表現するとは。汚物をむしろ清い誉と表現することで、犬の飼い主や犬そのものにまで配慮がなされている。
なんと上品なのか。書き手の気品すら感じられるではないか。

もちろん近づいて確認したら、「誉」ではなく「糞」でしたが。

トイレの張り紙に「汚すな」ではなく「いつも綺麗に使ってくれてありがとう」と書く最近の手法に通ずる、相手の美意識に訴える手法…… ではありませんでした。


7月18日

家の掃除機がおブッ壊れになられたので、最寄駅前のヤマダ電機に新しい掃除機を買いに行きました。

売場にて商品を決めて店員に購入の意思を伝えると、会計の順番をしばらく待っていてほしいと、椅子へと案内された。

椅子に腰掛けて呼ばれるのを待っていると、Softbankの文字入りポロシャツの店員が近づいてきて話しかけられました。これまで店員に愛想よく振る舞っていた手前、ここで豹変してこの人を邪険に扱うわけにもいかないので話を聞いてみる。
すると、電気料金の支払いを東京電力からヤマダ電機でキャンペーンしている会社へと乗り換えないか、という勧誘でした。
勧められてそのまま乗るのは怖いし、キャンペーンしている会社とやらがsoftbankの関連会社であったこともあってお断りした。

去ってゆくsoftbankのポロシャツと入れ替わるように、また別のポロシャツが話しかけてきた。今度はウォーターサーバーの勧誘だった。
かれこれ半年ほど水道水を飲みまくっていて、冷凍庫で冷やした水は問題なく飲めると感じている今の俺には無用の長物なのです。

そんな二つの勧誘を断ると、また入れ替わるように店員がやって来た。ついに会計の順番が回ってきたという。

案内された会計窓口で掃除機の代金を払うと、領収書や保証書の発行にしばらくお待ちくださいと待たされた。
ただし、待たされたとはいっても、その店員はアクリル板のすぐ向こうに見えているし、待ち時間も知れている。
ところが、そんな会計の席でのわずかな待ち時間にも、新たなポロシャツが勧誘の手を休めず話しかけてくる。
ポロシャツが言うには、俺が領収書の発行を依頼したのを聞いたので、ファイナンシャルプランナーの斡旋をしようというのだ。

面倒くさい!
掃除機の代金を払うだけで、なぜ三度も勧誘を断るイベントが発生するのか。
ネット販売の方に人が流れるのは、こういうところにも原因があるのかもしれない。


7月19日

深夜、寝る前にテレビのチャンネルを適当に換えていたら、アニメが始まった。

そこは夜のオフィス。二人のスーツ姿の男がいる。
「今月もう●人目かぁ……」
濃いスーツの男がそう言いながら、ロッカーの名札を外している。
それを聞いた細メガネに薄いスーツの男は、
「力の無い者が消えるのは当然です」
と、感情の無い声で答えました。
思わず濃いスーツの男が、
「相変わらず厳しいなぁ」
と、苦笑まじりに細メガネに返しますが、
「遊びじゃないんで」
やはり冷たくそう言い放った細メガネは、そのまま立ち去ってゆきました。
 そして
  ↓
トレーディングカードバトルのアニメのオープニングが始まった。

めちゃめちゃ遊びのアニメだった……
(オープニング序盤でテレビは消されました)


8月29日

本屋のビジネス雑誌コーナーで、ふと「シャア専用」の文字が目に止まった。「シャア専用タブレットスタンド」だそうだ。

事情を知らない人が一見すると、不思議に思うだろう。シャア専用の物を一般大衆に提供しても誰も使えないし、シャア専用の物がシャアと面識のない人の家にあると、シャアも使えないじゃないかと混乱しそうだ。
そもそも、知ってて当たり前とばかりに使用されている「シャア」とは何かが解らないのではないか。

念のために軽く解説すると、「シャア」とは50年も前のアニメの「機動戦士ガンダム」に登場し、主人公ですらなく敵陣営に所属するライバル的キャラクターの名前である。
敵方の組織の創設者の息子だったが、創設者は側近に謀殺され、敵方がまるごと側近の一族に乗っ取られたため、息子は本名を捨て「シャア」と名乗って一般兵として敵軍に入隊し、復讐を目指す。そしてシャアはその才能で出世を重ね、側近一族に近付ける立場にまでのし上がったのだった。

と、まあ、シャアのプロフィールはこんなものなのですが、劇中でのシャアの素行がめちゃくちゃなのです。
一般人を装って入隊しているのに、顔を隠すという名目で角付きの仮面を被ってみたり、巡洋艦の艦長に任命されると、自艦のブリッジの外観を自分の仮面の形に改造したりと、コソコソする気が全く無く、目立ちすぎて途中で正体がバレます。
また、シャアの操縦する機体はスピード重視で、一般兵の乗る機体より3倍の速度が出る魔改造を施し、その機体を赤く塗装して「シャア専用」と称していました。
これが「シャア専用」の由来です。

かなり古いアニメですが、ガンダムは名作として名を残しました。そして、いつの頃からか、シャア専用が世にはびこるようになっていきました。
赤くないものを赤く塗って、「シャア専用だぞ」とふざけるのは子供の頃からよくあるノリでしたが、大人が同じノリでふざけだしたのです。
ペンや手帳などの文房具、腕時計や鞄など身に付けるもの。赤いシャア専用グッズは次々と登場し、たしか乗用車もありました。
最近ではマクドナルドが赤いバーガーを開発してシャア専用と銘打っていました。

私の記憶する中で最もぶっ飛んでいたのは、南大阪を走る鉄道である南海本線の特急ラピートにも、かつてシャア専用の赤いラピートが登場したことがありました。
シャア専用はシャア一人が乗れればいいのに、ラピートは252座席です。
シャアはもちろん声を担当している池田秀一さんや監督の富野さんすら乗っていない可能性が大です。
沿線に住んでいた松本零士先生は乗ったことがあるかもしれませんが、松本先生はガンダムではなく、放映当時のライバル作品「宇宙戦艦ヤマト」の原作者です。

ダラダラと何を書いているんでしょうね。要するに、シャア専用はカッコいいという話です。


9月8日

カレーを食ったあとの糸ようじの取れ高は異常。

俺の三大好物はと問われると、「カレー」「ラーメン」「粕汁」と答える。粕汁はともかく、カレーにラーメンというベタさからも、自分はごく一般的な日本人なのだと思う。

コロナ前の毎日職場へと通っていた頃は、節約と称して毎日カップ麺一つを昼食としていた。年間300食のカップ麺を消化していると語っていたのも大袈裟ではなかった。
それがテレワークとなって一転、カップ麺の割合は激減し、代わって台頭してきたのがレトルトカレーだ。

レトルトのカレーは一食分の量が足りない。白飯だけが残らないように気を遣いながら少しづつルーを白飯に擦り付けるようにして食べることになるのだが、食事という至福の時にそうやって神経をすり減らしながら食べるのは気に入らない。
このことはレトルトに限らず、外食でもカレーの一食分のルーは足らないと思う。例えばCoCo壱番屋でカレーを食べる際には、必ず追加のルーを注文している俺がいる。
俺にとってカレーのルーは、白飯を覆いつくしていてほしいものなのです。

また、カツカレーというカレーの上位種がある。しかし、カツ様が白飯に陣取っているからといって、カツの範囲の分のルーが減るなんてことでは本末転倒、ましてや、カツをめくった時に顔を出す、あのカレーのかかっていない白いご飯を目にすると、とても寂しく感じてしまうのだ。
できれば、ご飯をカレーで覆ってからカツを乗せて、さらに、そのカツの上にルーをかけていただければ申し分ないのです。

それにしても、世の中が一食分のカレーのルーをあの量で良しとするのは、カレーライスという料理を、ふりかけご飯と同じようなものと見なしているのだろうか。
たっぷりルーのかかった白飯を食べた方が美味しいと思うのは俺だけなのだろうか。

少し話が散らかってしまったので、昼食のレトルトカレーに戻します。
俺はカレーを美味しく食べるため、一食につき二袋のルーをかけることにしています。
とはいえ、今どきはレトルトといえどもけっこう値の張るものが多い。どこぞの名産レトルトカレーともなると、千円に届くかという値段になる。とてもじゃないが買えたものではない。そもそも俺の感覚では、店より高いレトルトは有り得ないのです。
そこで、いつもディスカウントスーパーで買い溜めするのが、80円の辛口カレーと180円のキーマカレー。日によって値段が微動していても、合わせて300円あれば買えてしまうのだから、そのへんで見かけるレトルト一食分より安上がりなのです。

ところが最近、ディスカウントスーパーの棚から黄色い箱のキーマカレーが消えた。
辛みが効いていて、このキーマを先に白飯の中央部に敷いてから辛口カレーを全体にかけると非常に美味かったのに。
片翼をもがれるとはこのことだ。
ディスカウントスーパーのオリジナルキーマカレーで代用してみたが、やはり違う。
俺のテレワークライフに暗い影を落とした出来事だった。


9月30日

プロ野球セ・リーグは、今年もヤクルトスワローズが優勝しました。
現状、三冠王に手が届きかけている村上選手の活躍で優勝したようなものです。

「村上のおかげだよ」だけで片付けるのは雑すぎる論評なのでもう少し丁寧に述べますと、今年は開幕から6月末までの投手陣の調子が良すぎました。ぜんぜん失点しないんです。
13カード連続で勝ち越して、交流戦もパ・リーグ全チームに勝ち越しました。
あまりにも打たれないし、他球団でもノーヒットノーランが出まくっていたもので、今年は『飛ばないボール』を使っているのだと思っていたくらいです。
6月末に史上最速の優勝マジックまで点灯しまして、「これはもう負け方が分からないな」などと慢心したところで、ボーナスステージが終了しました。

まず、コロナでの選手の大量離脱でケチがつき、さらには投手陣全員の良かった調子が、全員下り坂へと入って行くと、ここからコンスタントに貯金を放出していくようになりました。
最終的に前半の大量貯金でなんとか逃げ切った形で優勝しましたが、後半の不調期に大型連敗をしなかったのが大きいですね。
で、何で大型連敗をしなかったのかという理由が、村上選手が一人で打ちまくったからです。

シーズン序盤、村上選手の打率はそれほど高くありませんでした。5月末時点では2割7分だったところから、やがてチームの失速とは裏腹に6月7月8月と打ちまくって、打率を3割4分まで上げ、本塁打を55本の記録ですからね。
彼の活躍で優勝したようにしか見えない所以です。


今年もほぼ全試合、ケーブルテレビで観戦しました。この時間の浪費が報われたような気がして、心安らいでおります。

スワローズは最下位のイメージが強かったのか、去年の優勝時には「オメデトウ」のメールやLINEを送ってくれた友人が何人かいてありがたかったものですが、2年連続になると「調子に乗るなよ」と、なったのでしょうね。今回は誰からもメッセージは届きませんでした。


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