『キン肉マン』という漫画に並々ならぬ愛着がある。
170円を握りしめた小学3年生の俺が初めて少年ジャンプを買いに行ったのも、キン肉マンが読みたかったからだ。
どーでもいいことだが、その時の少年ジャンプの表紙は『キャッツアイ』でした。
そんな『キン肉マン』についてこれまで何度となくヨメ様に語るも、まったく興味を示さないので、
今日は矛先を変えて少しだけここに書き連ねてみようと思う次第です。
まずは前提を知ってもらうためにヨメ様にも語った、物語の初期設定。
世の中には人間以外に「超人」と呼ばれる人間をはるかに超える身体能力を持つ男達がいるという世界。
ある時、キン肉星の大王と王妃が、生まれて間もないキン肉マンを乗せた宇宙船で旅行に出ました。
ちょうど宇宙船が地球の東京上空を通った頃、眠る幼いキン肉マンにブタがたかっていることに気付いた大王。
ブタを宇宙船から放り出したのですが、キン肉マンのその容姿から、誤ってブタではなくキン肉マンの方を放り出してしまいました。
東京の田園調布に捨てられた形のキン肉マンは、いつしか空き地に小屋を立てて、人々に「ダメ超人」と言われながらも地球の平和のために戦っていました。
ヨメ様も「何を言ってるんだ?」という顔をしていましたが、本当にそんな話なのです。
がんばってついて来てください。
それでは、このキン肉マンの生い立ちをキン肉マンの盟友であるテリーマンが熱く語ったシーンがありますので、ご覧を。
これは不幸な生い立ちから悪の力に手を染め、キン肉マンたちと戦った敵超人へのセリフなのですが、
あのとんでもない設定が何だか感動的にすら思えてくるから不思議です。
この『キン肉マン』という漫画、一言でいうと、「支離滅裂」です。
しかしファンは、ストーリーの矛盾の一つや二つは全く気になりません。
この漫画は「ゆでたまご」という2人組の先生が描かれているのですが、少々無茶な展開、
例えば「とある超人が戦っているリングの周りに一瞬で大樹を生やしたり、それに対して対戦相手の超人が
あっという間にチョップですべての大樹を伐採する」といった謎な試合展開を見せられようとも、
ファンは皆、超人たちの熱い超人レスリングのファイトが見られるならば、もうそれで満足なのです。
『魁・男塾』という有名漫画では、死闘の末に絶命したキャラを、王大人(ワンターレン)という人物があっさり生き返らせてしまうので、
「あの激闘は何だったんだ」と思われたのは有名な話です。
別の有名漫画では、死んだはずのアバン先生が「じつは死んでいませんでした」と再登場してきたりと、
少年ジャンプの漫画では、死んだはずのキャラが復活するなんて日常茶飯事です。
もちろん『キン肉マン』も例外ではなく、死んだ超人が復活します。
しかも、生き返ることについて、特に特別な設定すら何もありません。
ゆで先生が新しいシリーズで描きたいと思ったなら、たとえそれが過去に敗れて死んだはずの超人であっても、しれっと登場してきます。
そんな時にもファンはもちろん、「ああ、ゆで先生、またやったな」と、細かい事は気にせず温かく見守るのです。
過去に死んだことは忘れる、もしくは敗れて死んだように見えていたけれど、そんなものは思い違いなのであって死んでなどはいなかったのだと記憶を補正するのが、
『キン肉マン』ファンというものなのです。
かつて「7人の悪魔超人編」というシリーズがあり、大将のバファローマン以外の悪魔超人6人は、キン肉マンたち正義超人との闘いで死亡したのですが、
現シリーズではその悪魔超人7人が全員、ふつうに戦いに参戦してきます。
もちろんファンは、過去に死んだことには目をつぶるのですが、悪魔超人の1人のスプリングマンが、正義超人のラーメンマンへとんでもないセリフを吐きます。
「一度殺されてる」と言っちゃってます。。。
「殺し返す」とか何だかもう生死をかなり気楽な感じに語ってるし。
しかもその後の回想シーンでは、正義超人に敗れてからの7年間、洞窟のようなところで悪魔超人たちが血のにじむ訓練に明け暮れてきたことが語られます。
もはや死んですらいません。
このようにファンも固まるような設定を放り込まれることも多々あるわけですが、
この作品のその他の特徴に、「見切り発車」というものがあります。
上で語った「7人の悪魔超人」にちなんだ話で、ファンの語り草となっているものを一つ紹介してみます。
まず7人の悪魔超人とは、単行本の表紙にも描かれているこいつらです。
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バファローマン、スプリングマン、ブラックホール、ミスターカーメン、アトランティス、ザ・マウンテン、ステカセキング |
しかし彼ら7人の悪魔超人の初登場のシーンが次のものです。
真ん中にすごいのが居るが。。。
しかし。次の週にはホンモノの7人が描かれており、あれは誰だったんだという見切り発車ぶりが見えるエピソードの一つなのです。
くれぐれもお間違えの無いように言っておきますが、『キン肉マン』を批判しているのではありません。
これらも含めて魅力で、楽しくて仕方ないのです。
服を黒いペンキに漬けてから着ると牧師に変装できる話とか、
いつも宇宙から攻め降りてくる完璧超人の本拠地が地下だった話とか、
まだまだ語り尽くせぬことが山ほどあるのですが、今日はこのくらいにしておきます。
俺の『キン肉マン』へのあふれる愛が伝われば幸いであります。
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