朝の新幹線に乗るべく、新大阪駅へ。
このまま東京へ移動して出社しようという作戦です。
今月は引っ越しの準備などで、大阪の現自宅に帰ることが多いのです。
だいぶこの大阪・東京間の移動にも慣れてしまいまして、柔軟な移動を行うようになってきました。
昨日から台風が来ているとのことでしたが、風はたしかに昨日から強くなっていたものの、とくに雨は降らず。
それどころか日が射しています。
一応、ニュースはチェックしていましたが、放映されているのは、例によって沖縄と和歌山の水辺の映像。
沖縄が荒れているニュース映像を見せられても、沖縄なんていつものこと。
台風の大きさによらず、海辺は荒れるでしょうし、マスコミなんてものはより酷い場所を映しては、さも大変そうに煽るものです。
そんな様子なので余裕すら感じながら新幹線のホームへ上がると、俺が乗るはずの列車の1つ前の便がまだ停まっていた。
どうもその停まっている便以降、JRは新幹線の運転を見送っているらしい。
とりあえず待つ。
雲の動きが速いあたりが台風の名残りを感じさせますが、青空から射す陽が温かい。
そんな陽向でつっ立って、ただ待ち続ける。
1時間近く待ったが、前の便がまだ居座っている。
コイツが居るかぎり、俺の乗る列車は入ってこない。
改札フロアはすでに人で溢れている。
さらに30分ほど待つと、「この列車は京都まで進みます」のアナウンスと共に、やっと去っていきました。
これで次は、俺の乗る列車が来る。
とりあえず進まなくていいから、座席で座って待ちたい。
車内で寝るのを見越して、睡眠不足状態でここまで来たもので、立って待つのもとても辛いのです。
などと座席に座りたいなんて夢を語ってしまいましたが、現実はさらに1時間待っても我が列車は来ない。
すると突然、ホームに軽快な音楽が流れはじめ、女性の声でアナウンスが始まりました。
やっと来たか。
疲れと安堵に脱力してアナウンスを聞く。
「のぞみ、210号は。。。
遅れております。」
知ってるわ!
「来るのかと思ったら、
こーへんのかーい!」
ホームの関西人全員が心の中で、吉田裕(新喜劇)バリにツッ込んだはず。
挙げ句の果てにホームの電光掲示から、
『次の列車 のぞみ210号 東京』の表示が消える。
ここにきて、まさかの運休?
ホームの土地神の如く立ち尽くしていた山がついに動いた。
階段を駆け下り、駅員をつかまえる。
ボクの電車、もう来ないの?
ただし駅員に高圧的に詰め寄る類の輩は大嫌いなので、
そこは温厚に問い質す。
その表情に哀れさがにじみ出ていたことは想像に難くない。
大丈夫、いつか来るとの駅員情報を心の支えに待ち続けると、ついに来た!
もう何時間経ったか分からないが、俺の座るべき場所がついに到着した。
恋い焦がれたシートに座る。
そして「京都まで進みます」の社内アナウンスを聞きながら、早々の眠りに墜ちていく。
一応もう1度言うが、これは出勤の話です。
ずいぶん経ったと思うが、1度目が覚めた。
まだ京都に居るのかなと窓の外を見たが、新大阪だった。
それからしばらくの記憶は無い。
気づくと新横浜付近を走っていた。
車窓からの景色は快晴。
こんなに回復するまで待たなくてもいいだろうに。
品川で降りる直前、車掌のアナウンスはこう言った。
「本日は台風の影響で、最大5時間30分の遅れが出ております」
計算してみたら、俺のことだった。
こうして大遅刻して夕方出社したが、
この台風の間、俺は最後まで、雨を見なかった。
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