10・02事件
それはいつもと変わらぬ平凡な日と思われた10月2日の朝の事務所で始まった。
我がチェルノブイリ社(仮名)の全社員が会議室に召集された。
何やら社長から発表があるのだという。
社員の集合が完了すると間もなく、それは告げられた。
「会社が潰れそうです。」
なにぃ!?
去年と一昨年、失敗就職を挟んで、俺は2度の就職活動をした。
やっとの想いでバイトからではあるが、今の会社に就職したのがちょうど1年前の10月1日。
あれから丸1年、 早すぎ。
しかも、われら開発のリーダーと営業2人はすでにこの話を聞かされていたらしく、退社を申し出ているらしい。
また、経理と事務の女性社員もリストラが濃厚とのこと。
幸いといっていいのか微妙ではあるが、俺の所属する開発と運用グループからは自ら退職を希望する人以外はリストラは行わないらしい。
もともと破格の安月給な上に、残業しようが休日働こうが手当など発生しない我が社である。
その上この状況に至っては、身の振りを考えるのが正解かもしれない。
しかし とてもじゃないが、再就職に堪える技術などまだ身に付いてない。
皆 仕事も手につかないまま定時後、開発の主な面々で居酒屋にて会合をもつこととなった。
不毛な話合いが続くも、そんなすぐに気の利いた答えなど出るワケがない。
時間だけが過ぎていき夜11時、まだ水曜日という事もあり、当然電車のあるうちに帰らねばならない。
そんな俺に、隣に座っていた年下上司がこう言った
「俺の終電がすでに無くなったから、送ってくれないか」
そう、彼の家はかなりの田舎であり、電車など10時代で終わりなのである。
そこで彼は家の最も近い俺に車で送る事を願い出たのである。
さらにいうと普段私服の我が社であるが、彼は翌日に客先への訪問予定が入っており、家に帰らねばならないのだ。
ちなみに最も近いといっても、彼を家に送るには、まず90分かけて俺の家まで来てもらい、そこから車で片道45分の道のりである。
そして俺はどうしたか。
年下とはいえ上司である。
いや、そんな硬い上下関係など無い我が社ではあるが、仲間としてもそこは送ることにした。
さて、ここまでの1日の流れを思い返してほしい。
とくにおかしな行動があっただろうか?
いや、そうとう堅い人でない限り、みな同じ行動をとったと思う。 ね。 ね。 みんなそうだって言ってよ。
それじゃあ今回のオチにいくよ。
俺、警察に捕まりました。
もちろん酒気帯びでです。
・ ・ ・ 笑えねー
これから俺は前科者、一発免停(免許取消かも)、かなりの罰金が予想される。
・ ・ ・ 笑えねー
あれっ おかしいな。涙でモニターが見えないや。
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